クレーム体験談
クレーマーは介護業界に限らず存在しますが、特に介護の仕事は人と人とが直接コミュニケーションをとるためクレームに発展しやすい傾向にあります。最初は些細なトラブルだったのにいつのまにかクレームにまで発展するなど、ストレスを抱えながら働いている人も多いでしょう。ここでは、実際にクレームに遭遇した方の体験談を紹介していきます。
ヘルパーのKさん
ヘルパーとして訪問介護事業所に勤めているKさんの体験談を紹介します。Kさんはヘルパー歴の長いベテランで、これまで何人もの利用者に訪問介護サービスを提供してきました。そんなKさんが、とある女性(ここではFさんとします)を担当したときの話です。
Fさんは日常生活の介助が必要な状態で、Kさんは排せつ介助などを任されました。Fさんは夫と息子と暮らしていましたがどちらも仕事をしており、出社前の忙しい朝の時間帯に介護をしてほしいというとこで派遣されました。Kさんは難なくスムーズに介助業務を行いましたが、介護を受けたFさんは納得がいかないようで、特におむつの当て方に対して何度もやり直しを要求するようになってきました。Kさんは要望に応えられるよう一生懸命取り組みましたが、一向にFさんが満足する気配はありませんでした。
そしてある時から、Kさんが訪問を終えたあとに必ず事業所へFさんからクレームの電話が来るようになったのです。内容としては、「おむつの位置がいつもより数センチずれている」などといったものでした。サービス担当責任者が状況確認のために同行してくれたこともあったのですが、第三者からみても問題はないとのこと。その後もクレームの電話が続き、さすがにほかのヘルパーに交代をお願いしたKさんでしたが、その後どのヘルパーが対応しても同じ内容のクレームが続いたとのことです。Fさんの家族曰く、今まで面倒を見てくれた家族がいきなり離れていったように感じて、その不安な気持ちがクレームという形で表れてしまったのではないかということです。
老人ホームで働くDさん
認知症の利用者が入居する老人ホームで働くDさんの話です。担当フロアに入所しているSさんは認知症が進行していたものの、いつも穏やかに過ごされていたそうです。しかし面倒だったのは、Sさんのもとに毎日面会に来る娘さんのほうでした。Sさんに着てほしい服を選んで持ってくるのはいいのですが、汚れることもあるのでその際は別の服に交換が必要です。そしてそのタイミングで娘さんが面会に来ると、服が違うじゃないかとクレームに発展し、長時間それに付き合わされます。また、こっそりSさんに食べさせるためにお菓子を内緒で持ってきたり、面会時間を過ぎていても面会を希望するなど、自己中心的な言動が多くDさんをはじめ施設のスタッフは困っているとのことです。